活用事例

過去の事例

活用事例① <質の高い教育・ポートフォリオの高度な利用>

学生の自己実現に向けたポートフォリオの活用

山梨大学

大学の中期目標に「学習意欲と社会に貢献する意欲のある人材を養成する」ことを掲げ,「学生が自らの学習目標に応じて効果的に履修できるよう学生(学習)支援を充実するためにeラーニングの活用を中心とした積極的なICT活用による学修環境の整備を進めています.また,特に基礎力と実践力を兼ね備えた学生を育成するために,入学前教育と初年次教育を重視し,入学時の基礎学力を把握して,学力に応じたきめ細かい指導と学修支援を進めています.

8大学連携事業でのプレイスメントテストと学修観アンケートは平成26年度より全学部新入生を対象に実施しています.また,習熟度別の英語科目のテキストに連携事業のステークホルダーであるマクミラン社のPRISMシリーズを採用しました.数学については,既にあるeラーニング教材を補完するものを本学が開発し,すべてのレベルに対応する教材が連携事業のサーバに搭載されました.これにより,学生に経済的負担を掛けずに,各自のレベルに応じて自主学修ができる環境が整いました.日本語については,対応する授業科目が無かったので,新しく授業科目を設けることを決めました.平成28年度より学生の自主学修を促進するために,プレイスメントテストの結果と学修特性を記載した個票をもとに,自主学修を設計するための授業科目を設けました.

全学レベルで入学時の基礎学力を測り,在学時の学習状況や成績の記録とともにポートフォリオに記録し学修の振り返りが学生自身で行えるようになりました.上記の新設授業は,電子版ポートフォリオ(mahara)にOPPA(ワンページポートフォリオ)モジュールを構築し,振り返りを大切にするように組み立てられております.これらのデータの蓄積は今後の学生のキャリアパスを作る重要なデータとなっていきます.更に,統計的データを活用し,学修特性を比較することで,潜在的に学修上の問題がある学生を早期に発見し早く対処することができ,問題が顕在化する前にその原因を取り除き安定した学生生活が行えるような指導が可能なります.

学生ポートフォリオの理念

活用事例② <キャリア系・主体的学び>

キャリア教育での主体的な学び

千歳科学技術大学

千歳科学技術大学では,キャリア教育(科目名:キャリア形成)を学部1年から3年まで行っており,1,2年次に関しては前後期それぞれ2単位ずつの単位化を行っています.本学のキャリア教育では,主体性などの人間力の育成とともにアカデミックスキルの育成を目標としています.

1,2年生のキャリア教育の中では,入学時,進級時の個々の状況を学生自身に把握させることを主な目的とした数学・英語・日本語・情報のテストを実施しています.その結果をもとに,eラーニング上で自由に範囲を選択し主体的な学習の促進を目指しています.テスト結果と各自のキャリアを意識させつつ,学生自身で学びの目標を設定させ,eラーニングの学修教材,期間の計画を立てさせ,実際に学修を促します.さらに,実際に学修期間中,学修期間後に振り返りを行わせています.2015年度の結果では,約9割の学生が計画を立てて学修を実施しています.自ら設定した計画通りに課題をすべて終えた学生が全体の4割でした.特に数学,英語については,各初年次の科目と連携しながら,課題を設定して学修を行う学生が多い結果となりました.これは,キャリアとしての学修と今の学びとの結び付けができている成果であり,初年次教育とキャリア教育の接続という観点で大きな成果と考えています.

学修目標から学修までを自己管理する主体的学びの実践

活用事例③ <キャリア系・教養基礎科目>

ルーブリックを活用した学修分析による学生支援

創価大学

平成25年度には,共通科目のコンピュータ・リテラシーと文章表現法bの2科目,平成26年度からは,数学基礎,英語Aを加えた4科目において,プレイスメントテストおよび到達度テストを実施しています.この結果を活用して,本学の共通基盤教育の教育成果(ラーニングアウトカムズ)を検証しています.プレイスメントテストおよび到達度テストは,個票にして各授業における振り返りの資料として活用しています.また,平成18年度(平成17年度に試行)より全学的に実施している数学,国語,英語のプレイスメントテストの結果とも比較し,有効性を継続的に検証しています.

平成26年度からは,学修観アンケートを全学的に実施し,本学学生の学修観を把握することができました.これらのデータを本学のIR室に提供し,他のデータと併せて分析を行っています.加えて,一部の学部で試験的に実施している大学不適合な学生抽出調査との対比も行い,学修観との関連性も検討しています.現在わかっていることは,目標設定・振り返り,タイムマネージメントができない学生は,成績不振になる傾向が高いことです.入学後の早い段階で成績不振者予備群を抽出し,その学生を担当するアカデミック・アドバイザーに情報提供できる体制を構築できるように準備を進めています.

平成24年度,25年度にルーブリックについて調査を行い,AAC&Uのバリュールーブリックについて詳細に分析を行いました.連携各校に情報共有をおこないつつ,本学でのルーブリック活用の推進に繋がりました.来年度に向けて,入学前教育や初年次の課外でのリメディアル教育,eラーニング教材の活用について検討しています.

学修分析に基づいた学生支援

活用事例④ <キャリア系・教養基礎科目>

「数学Cafe」を立ち上げ,自ら学ぼうとする学生を支援

愛知大学

教育改革の具体的な施策として,教育環境におけるICT活用,組織的なシラバスチェック,少人数教育の推進等が実施されています.また地域政策学部では地域政策学に関する知識を基礎に,地域とその諸問題を深く理解し,まちづくりと持続可能な社会づくりに貢献できる高度な「地域貢献力」を備えた人材育成を目的に,4年間一貫の少人数教育とアクティブ・ラーニングを重視した教育実践を行っています.

プレイスメントテストは初年次科目の「学習法」内において実施あるいは実施指導することにより,ほぼ全員が実施しています.更に,その結果をまとめた学生個人の個票は「学習法」を通じて学生に返却し,更に指導用資料として担当教員にも配布することにより担当教員が学生の基礎学力を把握するだけで無く,必要に応じて学習指導を行っています.また,入学直後の5月末を目処に個票を返却しますが,これに合わせて本事業で開発した日本語,数学のeラーニングおよび本学が導入している英語のeラーニング教材について「学習法」の授業内で紹介し,学生個人のレベルに合わせた学修内容を指導し,主体的な学びに繋げる取組をしています.また,到達度テストは2年次春学期の「研究法」において実施あるいは実施指導することによりほぼ全員が実施しており,プレイスメントテストと同様に「研究法」内で個票の返却を行っています.本学はいわゆる文系大学であるため数学に苦手意識を持つ学生が非常に多く,これまでも就職試験等で苦労する学生が非常に多くいます.このような状況を入学当初から学生に伝え,プレイスメントテストや到達度テストによって問題意識を持たせることにより主体的なeラーニング実施に向かわせるキャリア教育としての性格も持ち合わせています.さらに,数学に関して苦手意識を自覚し,克服しようとする積極的な学生を対象に数学対策講座として「数学Cafe」を立ち上げ,自ら学ぼうとする学生の支援を行っています.

eラーニングの取り組みから主体的な学びへ

活用事例⑤ <初年次系・主体的学び>

eラーニングとラーニング・コモンズの連携による主体的な学び

北星学園大学

本事業を通じて,いわゆる学力,学習動機,意欲において多様化する学生に対し,より個別性の高い教育の充実化を図り,教育の質保証に資することを目的としています.

2013(平成25)年度より,全1年次生を対象に,本事業の成果であるプレイスメントテストを活用した「入学時基礎力調査」および学習後の到達度テストを全学的に導入しています.また,テストの導入と同時に,全学的な質保証の仕組みづくりにおける最初のステップとして,テスト結果に関する全学部教授会を通じた学内共有を行っています.

2014(平成26)年度からは,それまでに本事業で開発してきたeラーニング教材ならびにポートフォリオシステムを活用し,テストの実施から,結果(個票)のフィードバック,振り返りと学びのプランニング,学習教材への取組までの一連の循環的学習プロセスの形成をめざした,学士力(基礎)向上のための「主体的学び」プログラムを開始しました.

2015(平成27)年度には,本事業の成果を含めた全学的な学習支援環境の構築の一環として,ラーニング・コモンズを新設し,授業時間外の学びのための物理的な環境を整備するとともに,学生どうしの学びあい・教えあいを推進する全学ピア・サポート組織を正式に発足させました.

現在,学士力(基礎)の知識面とスキル面の両方を見据えながら,上記「主体的学び」プログラムとラーニング・コモンズでの各種の学習セミナーや個別学習支援との連携を図っているほか,全学ピア・サポート制度に関し,アクティブ・ラーニングを適用した人材育成のための学内キャリアアッププログラムとしての試行を開始しています.

ラーニング・コモンズを利用した主体的学びの実践

活用事例⑥ <初年次系・教養基礎科目>

ブレンド型「日本語リテラシー入門」~全学必修科目として~

愛媛大学

平成25年度後学期に共通教育において,日本語運用能力,とくに文章作成能力の向上を目的として,1年次(約1,900人)必修の基礎科目(1単位8週)として開講しました.当該授業を開講するにあたっては,担当教員数の大幅な増員が難しく担当教員数が限られていること,均質の教育内容を担保するために,複数の担当者が共通に教授できる方策が不可欠であるということなどの問題がありました.これらの問題を解決するために,対面授業とともに,メディア授業(学生の自学自習形式(eラーニング))を実施することとしました.メディア授業は,以下の5つの要素で構成されます.①動画による解説:前回の対面授業で学んだ内容の動画による解説,②確認問題:Moodleに掲載された確認問題(選択式)を解き,80%以上で合格とする.③課題提出:Moodleにミニレポートを作成するとともに,他の学生が書いたレポートに,コメントをつける(2人以上).④振り返りシート:その回に学んだことの振り返り,⑤最終試験:授業最終回に,Moodleに最終試験(レポート)を提出.授業に関するアンケート調査では,約6割の学生は対面授業よりも良いと好意的に捉えています.また,授業目標として掲げた3つの目標の自己評価(平均)は,10点満点中7.6点で,授業を受講することによって,高い自己肯定感を得ていることが確認されています.

日本語リテラシーの授業実践

活用事例⑦ <初年次系・教養基礎科目>

英語能力の向上に向けてe-TOEICコースを実施

佐賀大学

大学と社会を繋ぐインターフェース科目の履修学生を中心に,プレイスメントテスト(1年初期),到達度テスト(2年初期)を実施してきました.一部の基本教養科目において,LMSを活用したアクティブ・ラーニングの試行を繰り返しています.

本学では,全学統一英語能力試験として1年次前期と2年次後期にTOEIC-IPテストの受験を課しています.1年次前期のスコアは能力別クラス編成に利用し,2年次後期のスコアは英語の成績評価の30%として用います.このようなTOEIC-IPテストの全学的導入を受けて,英語教育の学修支援体制を整えています.希望者にはPre-TOEIC(TOEIC型模擬テスト)を実施しています.1年前期のTOEIC-IPスコアの低かった学生は,e-TOEICとして一定のeラーニングの学習教材の受講が義務付けられています(毎年約250名).TOEIC-IPの全体平均は,1年半後に低下せず20~40ポイント程度向上し,本事業の一定の成果と自負しています.今後,1年生全員に対しプレイスメントテストと到達度テストを実施し,学生自身の主体的な学びが促進できるように,より一層本学修支援システムの活用を進めていきます.

e-TOEICコースの実施体制

活用事例⑧ <初年次系・入学前教育>

eラーニングによる入学前教育と大学教育の接続

桜の聖母短期大学

全学科共通の共通教育では,計画・実行・評価・改善のサイクルによって地域社会が求める「向上心」「考え抜く力」「チームで働く力」「前に踏み出す力」を育むことを目的とした教育改革に努めています.専門教育では,専門職としてあるいは社会人としての必要な力を体系的に学習し,さまざまな体験から問題解決力やコミュニケーション能力等を身につけることを目的とした専門教育改革に努めています.また入学が確定した高校生から2年次卒業までを通したキャリア教育実施などの改革に努めています.

本学入学が確定した高校3年生から,入学前教育eラーニングを提供しています.1年次4月に全入学者に対しプレイスメントテストを実施しています.また,1年終了後の到達度を評価するために,2年次4月の授業前に,到達度テストを実施しています.eラーニングは,正課外授業での学習を推奨,地方公務員試験の一次対策セミナーでの学習推奨,日本語検定能力試験受験のための学習,英語科目でのeラーニング導入,キャリア開発科目群では評価指標の一つとして導入など,多方面にわたり,本事業の取組を実施しています.また,平成26年4月に本学組織として新たに“リメディアル教育センター”を立ち上げました.

入学前から卒業時点まで,正課内外を問わず主体的に学習する学生が増加していると判断しています.図書館情報センターでもノートPCの貸し出しを開始し,学習促進を支援しています.入試・広報部では,eポートフォリオを積極的に利用しています.さらに,英語やキャリア開発科目群では,正課内でeラーニングを取り入れ,評価指標の一部にも導入した.進路支援の部門であるキャリア支援センターでは,本学事業で構築した学修観アンケートの利用を開始し,進路決定情報をeポートフォリオに入力するなど,教員が情報共有する仕組みも出来上がりました.このように,学科や部門を越えて,本事業の取組がさまざまな場面で活用されています.本事業の取組は,学生が自らの進路を決定し,主体的に学ぶために,無くてはならない仕組みとして定着してきています.

入学前教育と短大教育との接続

活用事例⑨ <初年次系・入学前教育>

eラーニング活用した入学前教育

岩手県立大学

岩手県立大学で実施している数学の入学前教育では,自分の実力を把握しながら学習を進められるように,Moodle上に公開した3種類のテスト(事前・確認・事後テスト)を活用して学習を進めています.テストの結果から理解できていない箇所を把握し,「共通基盤教育システム」の教材などで学習を進めてもらっています.生徒はまず事前テストを行い,その内容を自ら振り返り,学習計画を立てて勉強をします.そして,学習途中に確認テストで成果を確認しつつ,最後に事後テストを行います.これらの学習過程では,生徒たちを4名程度のグループに分け,Moodleのフォーラム機能を用いてグループ内の進捗報告に評価とコメントを付ける活動を行っています.他者の報告を見る・他者に見てもらう機会を用意することで,計画や報告の質を高め,お互いの努力や存在を意識し,計画通りに継続して進める動機づけを意図しています.

入学前教育でのeラーニング活用

Last modified: 2022年8月3日